FC2ブログ
プロフィール

佐藤 壽三郎

Author:佐藤 壽三郎
1947年8月生まれ

趣 味 囲碁・歴史考察・墨書

最新記事

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

最新コメント

カテゴリ

リンク

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

最新トラックバック

QRコード

QR

千曲のかなた: 須坂市議会議員 佐藤壽三郎
「千曲のかなた」の由来は、郷土が全国に誇れる大河 「千曲川」と、千曲川のかなたに連なる信濃五岳、北アルプスや四方の山並を超えて遠望する私のねがいです。  「千曲のかなた」を通じて私は故郷から巣立った青年たちに熱いエールと郷里の情報をおくり続けます。「ふるさとは永久に緑なりき」と・・・
ふるさとのことばの危機だ
ふるさとのことばの危機だ

 高校時代も残り少なくなった、ある日の現代国語の授業中のことであった。先生より「君の言葉は、方言や訛りが少ないから、上京しても不自由はしない(都会人に馬鹿にされない.)だろう」とのお墨付きを頂いた。この「お褒め」は私にとって大きな自信となり、この自信を引っさげて揚々と上京した・・・

 ところが上京してみて、ふるさとで日常的に喋っていた「ことば」は「信州弁」とかで、都会人(今思えば、都会人と言っても東京は全国から上京して来た田舎人の集まりで、各々が方言を持ち合わせていたに他ならないが・・・)には全く通じない。然も北信出身の叔父には、すんなりと通用する「信州弁」も、都会で生まれ育った従兄弟たちに「意味が分からない」と、両親が信州出身であることも忘れて、江戸っ子気取りをしてからかう始末だ。先生から上京前に頂いた「お褒め」は一体何だったのかと自信喪を失くしたものであった・・・

 イントネーションと方言は、出生地が大きく影響する。子のイントネーションとことばは、その大半は母によって仕込まれた文化でもある。母や祖母や家族の会話を聞いて育つなかで、自然に聴覚で覚えるものでもある。長野県は縦に長いが、全県通用する「方言」と地域限定の「方言」があることなど全く知らず、長野県人であれば誰にも通じる言葉と思っていた。もっと大袈裟にいえば日本中に通じることばと思っていた。何が「方言」であるのかの篩いも持ち合わせていなかった・・・

 歴史的にみると、壬申の乱、源平合戦、応仁の乱、関が原の戦、江戸時代の領主の領地替え等、一族郎党が戦に破れると挙って日本中を逃げ回ったり、或いは新天地を求めて放浪したり、時の将軍様から強制的に移動させられたり、取り潰しにさせられた史実が、そもそも「方言」をシェークされたと言えまいか。この歴史の重みが「方言」の広範囲通用と地域限定の差が働き現在に至っていると私は理解している。

 小学校にあがるまでは、祖父母や父母との日常的な生活の営みによって、言葉が身につく、地域に生きていくために必要な「ことば」であるが、小学校に入学して国語を学ぶことは、一面、標準語(共通語)を学ぶことに等しい。昨今は、小学校に入学する前に、保育園や幼稚園に通園する事情を考えると、かっての如く祖父母や父母と、どっぷりと過ごす時間が無くなり、「方言」を修得する期間が極めて短期間であると言える。現代は生まれたときから、ラジオやテレビのシャワーを浴びている。このことが「方言」の衰退に拍車をかけた。ラジオやテレビは長年培ってきた地域の文化「方言」を根こそぎ崩した張本人である。

 最近ある本を頂いた。「信州 ふるさとのことば」(八十二文化財団発行)である。この本を読んでみたら将に目から鱗であった。
一例を挙げれば、感謝の意を示す共通語の「ありがとう」は・・・
 北信:アント
 東信:アリガトウアンシタ
 中信:アント
 南信:アリガトーゴザンシタ
とある。特に中信地方は、オカタシケ、オカタジケ、カタジケナイ、オッション、ヨクシタと洵に語彙が多い。

 朝、日中、夕方の人としてのあいさつや別れの言葉は、東信地方に極めて言葉数が多い。武田信玄公支配下の地域と上杉謙信公支配の色分けが其の儘の「ことば」として残ったのか。江戸時代の中仙道と北国街道の人々の往来の合流点が東信の追分であった事情がそうさせたのか分からないが、様々な事情が重なり合って豊富な「方言」が定着したことは間違いないだろう。
 
  思うに、「信州 ふるさとのことば」をかれこれ40年前に私が読んで上京していれば・・・
「方言」は活字で書き表されても真意が伝わるものではない。言い回しやこの時に使う表現方法とか奥が深い。音声が素早く自然に録画できる今、日本文化でありふるさとのことばである「方言」を、我々は後世に伝える取り組みをしなければ、「方言」が死語になってしまう。

「ズク」が分からない信州人であってはならない
「方言」がすんなり口からでる信州人であって欲しいものだ。


関連記事
スポンサーサイト