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佐藤 壽三郎

Author:佐藤 壽三郎
1947年8月生まれ

趣 味 囲碁・歴史考察・墨書

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千曲のかなた: 前市議会議員 佐藤壽三郎
「千曲のかなた」の由来は、郷土が全国に誇れる大河 「千曲川」と、千曲川のかなたに連なる信濃五岳、北アルプスや四方の山並を超えて遠望する私のねがいです。  「千曲のかなた」を通じて私は故郷から巣立った青年たちに熱いエールと郷里の情報をおくり続けます。「ふるさとは永久に緑なりき」と・・・
ならぬものはならぬ 27
検察庁法見送りの国民の声は何か

学生時代に、刑法が「双刃(もろば)の剣(つるぎ)」と言われる所以(ゆえん)は、片方の刃で罪を犯した者には厳格にその償いを強制的に科す可罰機能と、一方の刃は罪刑法定主義のもたらす、嫌疑をかけられるも罪を犯していない者を、国家権力から守る人権擁護機能があると学びました。そのことからしても起訴、不起訴の決定権を独占する検察官は、国民から与(あずか)る使命と職責は否(いや)が応(おう)でも重いものあります。

検察官が時の権力者の恣意的(しいてき)解釈によって定年が忖度される、言うならば、検察官が内閣や法務大臣の「顔色を見ながら」職責を行うような制度の導入を導入してはならない。年金基金の様々な事情や、長寿社会に対応した公務員のあり方の一貫として、定年引き上げをせざるを得ない事情は理解し、反対する気は更々ありませんが、然し検察庁法を改正する法案を通すために、政府の十(じゅ)把(ぱ)一束(ひとからげ)の手法には反対です。又、国民が容認できないと指摘するように、内閣や法務大臣が認めれば【特例】で定年延期が出来るという、極めて恣意的な身分の取扱い条項は、指摘されるとおり国民にとって重大な問題を含みます。

内閣や法務大臣は、恣意的な人事条項に何故執拗に拘るのだろうか。この条項は、検察官が抱き続ける矜持(きょうじ)をズタズタにしてしまう何ものでもない。丈夫(ますらお)が抱く心根を、政権の中枢に長らく居座る政治家が、職責の使命をいつの間にか喪失してしまって、検察官と一般行政職との見境のつかない感覚に陥っているとしか感じません。将におごりのある政治家が振りかざす権力の蹉跌(さてつ)としか思えません。検察官の人事を貫く慣例が何故に時の政権でも、不可侵であったかの事情を再認識する必要があるのではないか。

検察庁法見送りの国民の声は、表向きは政府が新型コロナウイルス対策に対し、国民から不評を買っていることもあるが、その真意は総理自身が抱えるダディーなモリ・カケ・サクラの3疑惑にあるのではないか。森友学園問題に関して、犠牲者の手記がこの春先に露呈することで事情が一変したと言える。良識者らからの再調査の要請の声に対し、財務大臣は「既に解決済み。」の保身とも思える発言は、まるで封建時代の領民に対する殿様の言い方であって、時代錯誤も甚だしい。国民主権主義を認識しているとは思えない言行である。
国民主権主義や法治主義が浸透した現在の国民には、この発言に些(いささ)かも屈服しないし納得できない。寧ろ、総理と財務大臣は「やはり同じ穴の貉(むじな)か」と、国民は大方失望したのではないか。

更に昨年行われた参議院選挙で、自民党総裁のお声がかりで、しかも党から1億5千万円もの選挙資金を与えられた候補者がいたが、候補者の夫である前法務大臣が陣頭指揮を采って1千万円をばら撒く買収行為が行われたことが発覚した。この公職選挙法違反容疑の糾明についても、国民が注視していることを忘れてはなるまい。

言い換えれば、検察庁法見送りの国民の声は、国民がダディーな政治家に対する苛立ちと怒りや不信が噴き出た結果であり、国民の真摯な思いは3疑惑+1公選違反の糾明を願い、検察官に寄せるあくなき正義の追及と、ならぬものはならぬとする糾明への一縷の期待と捉えるべきである。

法曹を志して勉学に勤(いそ)しんでいた青春時代に、「検察官の胸の記章は、検察官が与る犯罪に敢然と正義と公平へのあくなき追求をする。その証しとしての徴(しるし)である『秋霜烈日』が検察官記章である。」と教えていただいたことを思い出す。その意味からしても、いつの世も検察官の使命は、悪を憎み、時の政治家や財界の権力者とのなれ合いを毅然と拒み、国民(国家)から身分保障を与(あずか)りし信頼の下に、決して功名を求めず、粛々と正義を糺す(ただす)法の番人であって欲しいと思います。


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