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佐藤 壽三郎

Author:佐藤 壽三郎
1947年8月生まれ

趣 味 囲碁・歴史考察・墨書

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千曲のかなた: 須坂市議会議員 佐藤壽三郎
「千曲のかなた」の由来は、郷土が全国に誇れる大河 「千曲川」と、千曲川のかなたに連なる信濃五岳、北アルプスや四方の山並を超えて遠望する私のねがいです。  「千曲のかなた」を通じて私は故郷から巣立った青年たちに熱いエールと郷里の情報をおくり続けます。「ふるさとは永久に緑なりき」と・・・
正攻法を旨とする法的思考でありたい
須坂市特別職の職員等の給与に関する条例の一部を改正する条例についてこれを否とする一考察
   

条例の一部を改正する提出者2名(以下、提出者らという。)が掲げる理由のうち、1つに、市長が平成30年9月14日から9月19日まで米国オレゴン州ポートランドへ「私費」で行くと公の場である議会及び市民の前で再三表明し、視察研修を行ったことは、公職選挙法第199条の2に違反する恐れが強いこと。2つに、出張後に正しても法に違反するおそれが強い行為をした事実は、なかったことにできないこと。3に、だから、条例を改正し給与の暫定的な減額措置をとり、自らの発言を実現せよとの主張に基づき、条例の一部を改正せよ。と読み取れます。

公職選挙法第199条の2の条文は、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、寄附をしてはならない。」とあり、これがそのまま構成要件であり違法性であります。

公職選挙法第199条の2の寄付罪の成立には、公職選挙法が形式犯であることから、「この寄付行為が受寄付者(物品を受領した者)において、公職の候補者等からの寄附であることを認識しうる形態においてなされることを必要とせず、受寄付者がそのように認識していたことも必要でない。」【国政情報センター刊。選挙運動違反の逮捕実例集より】とされております。茲が実質犯と形式犯の違いであることを、十分に留意する必要あると考えます。

そこで、公職選挙法第199条の2寄付の禁止に係る過去の判例事例を調べましたところ2件ありました。
1件は、平成10年3月施行の千葉県御宿町長選挙において、A氏は当該選挙に立候補するために、同町役場を退職。辞職に際し、同町職員で構成される親睦団体から餞別金19万円、同町から報奨金30万円を贈呈されたことから、在職中の謝礼等の趣旨で、退職後間もなく、同町職員92名に対し、ビール券各5枚(時価3,670円相当、時価合計33万7640円相当)を手渡しや郵送などの方法で供与し、寄付したとして、公職選挙法第249条の2第3項で起訴され有罪に処された事件でした。

いま1件は、平成7年11月 福岡県豊前市長選挙において、立候補を予定していた現職市長A氏が、当該選挙の約3か月前に、同市及び周辺地域で風習となっている「初盆参り」として、市内の新盆を迎えた163軒を訪問、自ら用意した現金5千円を受領させ、寄付をした。公職選挙法第249条の2第1項で起訴され、これが公職の候補者等の寄付の禁止及び制限違反にあたるとして有罪になった事件です。

今回の本案提出理由の条例改正案の争点は、米国オレゴン州ポートランドへ「私費負担」で行くと、公の場である議会及び市民の前で再三発言したことが、公職選挙法第199条の2に違反するか否かであります。

このことについて、提案者らが主張する、犯罪が成立するための構成要件や起訴要件を無視し、条文を包括的・一元的に捉えて杓子定規に論ずれば、「公職選挙法第199条の2項に抵触するおそれが強い。」とする理屈も可能かもしれませんが、刑法を論ずるときは、罪刑法定主義を念頭に置き、更に法益保護機能や人権保障機能をも併せて勘案し論じなければなりません。
この点を、平成31年3月12日に開かれた総務文教委員会の質疑で、小職が提案者に「実質犯と形式犯の違い」の説明を求めたところ、、提案者らは「不知」との答えであり、このことから刑法に関する知識は皆無と察し、以降用意していた質問をすべて取り止めた経緯があります。

要は、市長の「私費負担」発言を、公職選挙法第199条2項の寄附行為であると、即、断定できるかであります。常識的に考えても、「寄付行為」を包含した話を公の場である議会及び市民の前で、然も再三に亘り市長が「私費負担」発言をするでしょうか。市長の不用意な発言がそのまま即公職選挙法第199条の2に違反すると断定することは、些か的外れであり、論理に無理があると申せます。

更に、市長が旅費の支給申請を市にしない限り、市としての会計処理は、金48万3,230円は不関知で処理されたと思料します(市は申請のないものを支払うことはない。)。市長の旅費請求不申請を捉えて、この不作為は、第199条2項の寄附行為と決めつけるのは、無理があると思料します。

又、市長が議員の一般質問での執拗な追及とも恫喝とも思える言動に屈服し、これを聞き入れて旅費の48万3,230円を市に請求し、この支払いを市から受けたことについて、提案者らは「市長は遡及しての旅費請求はできない。この行為は違法だ。」と発言しているが、そもそも市長は米国オレゴン州ポートランドへ「私費」で行くと、公の場である議会及び市民の前で再三表明していることは事実であるが、然しその公言の中で、一言たりとも、この旅費を「当該選挙区内にある者に対し、いかなる名義をもってするを問わず、選挙民に寄附する。」ことを推測させる内容発言や不信な挙動があったのでしょうか。提案者らは「旅費の私費負担は違法だ」、これを聞き入れて旅費を請求し受給したら、これまた「違法だ」と騒ぎ立てる行為は、将に「御為ごかし」の何ものでもありません。

当該選挙区内にある者に対し、旅費の48万3230円の金品のバラマキ行為、言い換えれば寄附行為をした話は、渡米視察から凡そ半年も経過するも些かも巷間に聞こえてきません。市長から金品を貰ったとする受寄付者が、選挙区内であるこの須坂市内にいる話も一向に聞こえて参りません。このことは、将に旅費の48万3,230円の金品のバラマキ行為など一切無かったと言い切れます。第199条2項の寄附行為の事実は見当たらないのであります。

依って、提案者らが掲げる理由の1の事実の立証を、提案者自ら示されない以上、理由の2、3は妥当性を欠く要求と思料します。市議会は捜査機関ではなく、議員は捜査官ではありません。況して議場は法廷ではありません。提案者らは議員の本分を失念した行為と言わざるを得ません。

市長発言を、殊更に振りかざし、市長の失態だとして執拗に追及し、条例の一部の改正を迫る手法は、議会には馴染まないものと思料します。



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テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済